生活習慣病

高血圧

血圧は、血液が血管壁にかける圧力です。心臓が収縮すると大量の血液が血管に流れ込んで血圧が上がり、心臓が拡張すると血圧は下がります。血圧は、収縮期血圧と拡張期血圧を計測するため、2つの数字が表示されます。運動や食事、緊張、睡眠や起床などで血圧は常に大きく変化しています。高血圧は一時的な高い血圧ではなく、慢性的に高い血圧が続いている状態です。遺伝的な素因があって、過剰な塩分摂取、肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどが続くと生じることが多くなっています。
高血圧は、血管壁に絶えず大きな負担がかかっている状態です。動脈硬化を進行させ、動脈が硬化して柔軟性を失うと血圧がさらに上がりやすくなります。高血圧と動脈硬化はお互いを悪化させながら進行することが多いため、命にかかわる心疾患や脳疾患につながるリスクも高くなってしまいます。

糖尿病

ブドウ糖は全身の細胞のエネルギー源であり、特に脳はブドウ糖以外をエネルギー源に使うことができないため、必要不可欠な栄養素です。食事でとり入れた糖質は消化されてブドウ糖となって血液中にとり込まれます。血液中に含まれるブドウ糖の割合を示すのが血糖値です。血糖値は一定の幅で変動するようコントロールされていて、高血糖になると膵臓からインスリンというホルモンが分泌されてブドウ糖をエネルギーにかえる働きを促し、血糖値が下がります。糖尿病は、インスリンの分泌不足や、働きの低下によって高血糖の状態が続く病気です。高血糖が続くと全身のあらゆる血管に大きな負担をかけます。動脈硬化の発症や進行に関与して心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを上昇させ、網膜・腎臓・神経などに深刻なダメージを与える合併症を起こすこともあります。早期には自覚症状に乏しく、進行するとのどの渇き、疲労感、体重減少などの症状を起こします。
糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。

1型糖尿病

インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプの糖尿病です。膵臓の機能が障害されて生じ、若い方の発症が比較的多いという特徴があります。低血糖になりやすく、インスリンを補う治療によって血糖値の厳密なコントロールを行います。

2型糖尿病

遺伝的な素因があり、運動不足・肥満・ストレスなどの生活習慣によって発症するタイプの糖尿病です。インスリンの分泌不足や効果の低下によって生じます。

脂質異常症

血液中にはコレステロールや中性脂肪といった脂質が含まれています。血中の脂質は必要不可欠ですが、過剰になると動脈硬化を進行させ、ドロドロの血液が血管内でプラークという塊をつくり、血管の狭窄や閉塞を起こします。脂質異常症は、コレステロールや中性脂肪が過剰な高脂血症に加え、血中の余計な脂質を回収する善玉コレステロールが少ない状態も含んでいます。脂質異常症は進行しても自覚症状を起こさないため、健康診断などで異常を指摘されたらできるだけ早く受診して適切な治療を受けることが重要です。

動脈硬化

血管が柔軟性を失って、もろくなってしまう疾患です。高血圧で進行しやすく、動脈硬化が進行して血管が硬くなると血圧が上昇しやすくなるという悪循環を起こします。動脈硬化が進行すると、脂肪やコレステロールが固まってできたプラークが血管壁にたまる血管の狭窄や、プラークが破裂してできた血栓によって血管の閉塞を起こします。狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などは、動脈硬化が進行して起こる血管の狭窄や閉塞によって起こります。

生活習慣病の予防と治療

高血圧、2型糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化といった生活習慣病は、遺伝的な素因がある場合に、偏った食事、過剰な塩分摂取、運動不足、飲酒、喫煙・ストレスなどの生活習慣を続けることで発症・進行します。生活習慣病の予防と治療で最も重要なのは、食事や運動の改善です。特にお腹周りがぽっこり出た内臓脂肪型肥満がある場合、減量によって深刻な病気の発症リスクを大きく下げることができます。
生活習慣病は、狭心症や心筋梗塞をはじめとした深刻な心臓病の発症に大きく関与し、実際に心臓病がある方には生活習慣病を合併しているケースが少なくありません。生活習慣病の予防や治療をしっかり行うことは、将来の深刻な心臓病予防にも役立ちます。

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